さて、御所で桜を楽しんだあとは、そのまま御所の西隣にある金剛能楽堂へ。
この日は人生初のお能鑑賞。
金剛流の能楽堂であるこの金剛能楽堂は、建物自体は平成15年に開館した新しいものですが、中の能舞台は旧金剛能楽堂から、百三十年前の能舞台を移築してあるのだそう。
さすがにお客様にも着物姿の方が多い!
目の保養とばかりにうっとり眺めてしまったわ…。
色無地に袋帯のびしっとフォーマルな方から、小紋、紬に半幅帯の方までさまざま。
でもどなたも着慣れてらっしゃる感じの方ばかり。
私は、中でも草木染めらしい何とも言えないグラデーションの紬に、きりっと凝った織りの半幅帯を矢の字に締めた女性があまりに素敵なので、目が釘付けでした。
タダモノではない!!って感じ。はぁ…うっとり。
ロビーには、唐織りの古い能衣装が展示されていました。残念ながらこちらは撮影不可。
ロビーの大きなガラス窓から見えるテラスへ。
前日の雨にしっとりと濡れて、緑鮮やかな素敵なお庭でした。
池の向こうには石舞台が。
こちらで演じられることもあるのかしら?
悠々と泳ぐ、巨大錦鯉たち。
こういうのを見ると、ついついドラマの悪い政治家ゴッコをしたくなってしまう…w
白地に墨色で小さな小さな桜を散らした綸子の小紋に岡重の唐花模様の染め帯。
白地の綸子は果てしなく膨張して見えるのでヤバいわ…痩せなくっちゃ。
さて、中へ入りましょう。
建物 in 建物。
この光景、TVで観るお能で知っている光景ではありますが、考えてみれば不思議な光景です。
ホールの中に、古い能楽堂を移築。
そういえば、以前宮島や、躑躅ヶ崎館で屋外に立っている能楽堂をみたなぁ…と思い出しつつ。
三方が吹き抜けになっている舞台の正面と脇正面の席(見所)は会員席。
斜め45°の席、中正面は自由席。今回私たちはこちらに。
最後列には御簾の下がる貴賓席が。
休憩の時に眺めたら、素敵な着物をお召しの麗しいマダムたちがおしゃべりに興じてらっしゃいました。優雅ね…!
舞台の左手には渡り廊下(橋掛がり)があって、登場人物の通路に。
舞台から真横に出ているのではなく、少し角度がついているのですねぇ。
ときどき、ここでずーっと控えて待っている役者さんがいるので、「何してるんだろう…」と気になります。
橋懸かりの手前の白州には松が三本(ホンモノじゃない)植わっていて、右から一の松、二の松、三の松と呼びます。
あとで教えていただいたのですが、一の松が一番背が高く、二の松、三の松と少しずつ背が低くなっているそうな。
確かに!画像を見るとそうなってるわ。気がつかなかった…。
こうすることで舞台に遠近感を表現しているそう。ほほう。
壁には青海波が描かれてますが、これは京都御所の中にあった能舞台の文様を写しているそう。
橋懸かりの突き当たりには「揚幕(あげまく)」と呼ばれる、紫・白・朱・黄・緑の五色の幕。
シテ、ツレ、ワキ方など演じる人たちはここから登場・退場します。
音もなく、ぶわっっっっ!!とスゴイ勢いで幕が奥へ引き上げられると、ドキッとします。目が吸い寄せられます。
さて、この日の演目は。
仕舞 「春日龍神」 今井克紀
狂言 「昆布売」 茂山千三郎 / 丸石やすし
能 「高砂」 今井清隆 / 江崎欽次朗 / 和田英基 / 松本義昭 / 松本薫/ 笛 森田保美 / 小鼓 曽和鼓堂 / 大鼓 河村大 / 太鼓 前川光長
本舞台の奥の後座、囃子方、後見が座ります。
奥の鏡板に描かれているのは松。圓山応挙の弟子である巌城清灌(いわきせいかん)の作。
舞台右手奥には切り戸口、その横に描かれているのは竹。
初めて見る仕舞。
切り戸口から、黒紋付の囃子方がしずしず…っと入ってくるだけで、おおーーーーーっ!と背筋をただすような緊張感が。
鋭く鳴り響く鼓の音とかけ声に息を呑んで。
舞い手の方の、紋付袴姿の美しいこと美しいこと。
真っ白な足袋が音もなくすぅぅぅぅぅーーーーっと滑るように進む様に、まるで魅入られたように集中してしまったわ。
いえね、マジで心配していたのです。
わからなくて爆睡してしまったらどうしようって…。
実際、客席のどこからともなく「ふがっっっ!!」とか、「ごぉぉぉぉぉ…ぐぉぉぉぉぉ…」ってイビキが何度となく聞こえてくるし。
おい、おっちゃーーーん!アカンやーん!
でも、そんな心配なかったわ!よかった、よかった。
あ、「高砂」の神官さん?が滔々と説明する下りだけ「ハナシ長っっ!!ちゃっちゃと説明しろよ!!」と思ったのはナイショナイショ。
だって、他のシーンでは謡あり舞ありなんだけど、そこだけひたすら話すだけなんだもん…。
「昆布売」は、エラそうでむかつく大名を、庶民の昆布売りがとっちめるという痛快なおハナシ。
なんだかんだ言ってノリノリな大名も面白いし、シンプルでわかりやすい!
狂言のゆったりした笑いを見ていると、最近のお笑いがものすごーい高密度でテンポが速くて、忙しいなぁって思っちゃう。
「高砂」は、能を知らない方でも「箒を持ったおじいちゃんとおばあちゃんの絵」といえばピンとくるのでは?
能の代表的な祝言曲ですが、昔は「高砂や…」といえばおめでたい、結婚式の定番でしたね。
昨今ではそんなことはないのでしょうね…。
ラストの住吉の神様の舞が素晴らしかった!
初めての能体験、堪能しました!
機会があればまた観てみたい。
しばらく、お能風のムーンウォークと、「ヤオォォォォォォォーーーーーー!」(鼓をコーーーーーン!!)「ハオォォォォォォーーーーーー!」(鼓をカンカーーーーン!!)と物まねするのが我が家で流行ったのは、ナイショです。もういいオトナだからね。
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