時はちょっと…うんと遡って。
3月末、こんなイベントにお邪魔してきました。
佐野史郎&山本恭司
小泉八雲・朗読の夕べ in 下鴨神社
佐野史郎さんとBOWWOWの山本 恭司さんって、松江市出身なんですね。
その縁で、小泉八雲の作品を読む朗読ライブをもう10年近く続けられているのだとか。
夜の下鴨神社は、なかなかムード満点…。
バス亭から行くとちょうど神社の横手に出てしまい、人影が見当たらなかったので、ちょっと怖かったわ。
ぐるっと廻って、楼門前へ。
会場前でしたが、すでに長蛇の列が。
この日はかなり冷えこんでいて、しかも夜は雨100%の予報。
せっかく京都へのお出かけだったのでよそ行きを着たいところでしたが、がっつりウールのコートに袷のポリ着物、雨草履ででかけました。
100均のビニールのレインコートも用意して。
これがのちのちたいそう役にたつことに!
喰いしん坊オットも完全冬仕様。
雨予報に心が折れて、着物でなく洋服の上にトンビコート。
この日の舞台は、楼門を入ってすぐのところにある舞殿。
彩り鮮やかにライトアップされて、何だか不思議な雰囲気。
で、開演までしばらく待つのですが…
右手後方から、か細い赤ちゃんの泣き声。
え?空耳???
どうやら、赤ちゃん連れのお客さんがいたようで。演出かと思ったよ!!!怖いじゃないか…
泣き声がやんだと思ったら、今度は鬱蒼と茂る木々の向こうから、風がすぅーーーーっと吹き抜けてきて、カラスの鳴き声が延々と。
やだよー、なんか怖いよー。
第一部は、小泉八雲の曾孫である小泉 凡さんが小泉八雲について語るトークショー。
第二部は、朗読パフォーマンス 「佐野史郎&山本恭司 望郷~失われることのない永遠の魂の故郷~京都編」。
随筆「神々の国の首都」の冒頭部分に始まり、有名な「飴買い幽霊」のお話へ。
神社の境内はムード満点。
淡々と響く佐野さんの声、時には囁くように、時には泣くように、表情豊かな山本さんのギター…照明による幽玄な世界の演出。
小泉八雲の世界にずぶずぶずぶ…と惹き込まれてしまいました。
続いて、「鏡の乙女」。
伊勢の神官が事情があって京都に滞在するのだけれど、借りた屋敷には干ばつに襲われても枯れない不思議な井戸が。
しかも、何人もの人がその井戸に飛び込んで命をおとしていると言う。
ある日、神官が井戸の底を覗いて見ると、そこには美しい女性の姿が…というお話。
そして「鳥取のふとんの話」へ。
旅籠に泊まったお客さんが、自分以外の誰もいない部屋の中で子供の声がすると言って怯えて逃げ帰ってしまう。
次のお客さんも、そのまた次のお客さんも、布団から声がすると言って逃げてしまう。
不思議に思った旅籠の主人が、自分でその布団をかぶって寝てみると…
「あにさん寒かろう…」
「おまえ寒かろう…」
と、もの哀しい子供の声が…!!!
物語が佳境に入ったとその時…
雨がドバーーーーーーーーッッと…!!!
ええ、バケツの底が抜けたかのようないきなりの大雨でございましたわ。
野外舞台で、もちろん屋根などありません。
傘禁止なので、お客さんたちはクモの子を散らすように一斉に屋根のある楼閣や壁沿いへと逃げ出してしまいました。
席に残ったのは、ずぶぬれになっても気にしない勇者たちと、ウチのようにカッパスタイルで完全防備の者のみ。
ありがとう、100均の雨合羽!
ちなみに、着物にはポンチョ型の雨合羽の方が便利です。袖のあるタイプでは、袂が入らないので。
今回のイベントは自由席だったので、席に残った人たちはぼちぼちと空になった中央前列席へと移動しました。もちろんウチも。
佐野さんかぶりつき席!!!
雨のおかげで、ある意味ラッキーだったのかも…なんだか申し訳ない。
前の席に移ってようやく気がつきました。佐野さん、着物姿でした。
色鮮やかな照明のせいで色はよくわからないのですが、グリーン?グレー系?のお召しのような羽織袴。
舞殿の舞台に映えて、とても素敵でした!
しかし、寒い。とにかく寒い。
朗読は、ふとんの話の山場へ。
ふとんに取り憑いていたのは、貧しさ故に誰からも顧みられることなく真冬の雪の降る夜に凍え死んでしまった幼い兄弟の幽霊だったのです。
「あにさん寒かろう…」
「おまえ寒かろう…」
ええ…寒いです…私も。
寒さも、物語も、ものすっごく身に沁みましたわ…。
そのまま、イベント終了近くでこころもち小雨に。
あとのトークで、佐野さんも山本さんも「スゴいタイミングで雨が降ってきましたねぇ。お客さん、寒かろうって…!」とおっしゃってました。
まあ集中豪雨というアクシデントこそあったものの、見応えある素晴らしいイベントでした。
小泉八雲作品をきちんと読み直してみたくなったわ!
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